イケメン

 

もしかしてあなたはこんなことを思うのではないだろうか。

「はぁ、もっとイケメンに生まれていればな(泣き)」

わかる。その気持ち、すごくわかる。

だってあなたの顔面はとてもユニークというか遊び心に溢れているというか不細工だものね。という意味で、わかる、と言っているのではもちろん無く、イケメンとして此の世に生を受けました場合ありとあらゆることにおいて不細工よりも物事がすんなりといく、おトクをする、みたいな噂をよく耳にしますものね。だからもっとイケメンに生まれたかったんだよね。

でもアレですか?「もっとイケメンに」という言い方からして「(現在、特に不細工というワケではないということを踏まえた上で、てゆーか現在も見る人が見ればイケメンとは言ってくれるものの)もっとイケメンに」という風の吹き回しで言っておらっしゃっておられるのですか?違いますよね?

もしそんな感じで、そんな中途半端な思いで「もっとイケメンに」とほざいているのであれば私はあなたに全く共感できませんし、イケメンだとも思いませんし、そしてモノホンの不細工であるウノ・ジョージに謝っていただきたいとすら思っています。

いや、ウノ・ジョージみたいな現役バリバリのゴミクズ野郎に謝る必要はありませんので話を先に進めたいと思いました。

 

もしあなたが今私の隣に居て、嘆かわしく「はぁ、もっとイケメンに生まれていればな(泣き)」と言ったならば私はあなたにこう言うだろう。

「わかる~。」

それほどに共感出来る思いであるということを理解していただけただろうか。

これがもし私があなたに共感出来ていなかったり全面的に同意することをためらっている場合には「なきにしも~。」や「ないがしろ~。」、「たこくせき~。」等のいい加減な返事をしてお茶を濁すところであろうが、私は「わかる~。」と言ったからにはフルボディで共感キテるよ、ということをどうか理解してほしい。

お互いを尊重し理解し合うことで、この人間社会は成り立っているのである。

 

しかし、いくらもっとイケメンになりたいからといっても、イケメンはイケメンで堕つればなかなか悲惨であるということも理解していかないといけない。

それはなぜか。

イケメンをイケメンたらしめているのは当たり前のちちょんまんちにその顔面なのであるが、たとえばその顔面にある日突然、目、鼻、口、を全て覆ってしまうほどの穴が空き、そしてその穴はどういうシステムなのかブラックホール様になっており、己の意思とは関係なくありとあらゆるものを吸い込んでしまう顔面ブラックホール人間に成り果ててしまったとする。

するとどうだろう。以前であれば取り敢えずなにはなくとも、イケメンだね、と言われていたイケメンであるが顔面にブラックホールが出来てから、何でも吸い込むブラホ(ブラックホールの略)野郎、ブラホのクソ人間、吸い込まれたくない男五年連続No.1、等々さんざなあだ名をつけられ疎まれ、嘗てはあんなに楽勝で美女を侍らせブランデー片手に玉よ転がれチーパッパであった渡世も今は昔、現在は最終処理場で核廃棄物をその顔面の穴に吸い込む仕事でなんとか食い扶持を確保するような生活に成り下がってしまった。

 

何が言いたいかというと、イケメンはその顔面のみがアイデンティティである為いざその顔面がブラホに成り果ててしまった場合にはそのアイデンティティが消え失せて大変に可哀想なことになるので可哀想だよね、ということである。

しかしそれは不細工の顔面がブラホになったとしても可哀想であることは変わりなく、しかも不細工として生まれた場合にはイケメンのような栄華の日々を過ごせることもなく、だとしたらたとえいつかブラホに成り下がるとしてももっとイケメンに生まれたかったんだよね。

 

わかる。その気持ち、すごくわかる。