空にはノン・メッセージ

 

抜けるような青空だな。そう呼ぶにふさわしい青空が、いま僕たちの頭の上に広がっている。それはそれは幼子の夢想がごとくな広がりを見せてくれている。

しかし僕たちはこの空から、何かのメッセージを感じ取ることをしっかりと出来ていると言えるのだろうか。出来ていないのではないか。もっと積極的に空からのメッセージ、たとえそれが下ネタであれど、そのメッセージを受け取れるように常に備えておくべきなのではないかと考えてみた。

 

まず、空は常に僕たちにメッセージを発信してくれているとここで仮定してみよう。

仮定はいいよ。もしそんな事実が無かったとしても「いや仮定やからねぇ(笑)。仮定のことでそんな喧々言われるとはねぇ(笑)。」と相手を小馬鹿にした態度を取ることができるし、もし仮定としていたものが実際にもその通りであったとしたら「俺の仮定は当たるからねぇ(笑)。いい加減な仮定だ、と聞く耳を持たなかったマザーファッカも居たようだけれども(笑)。」と相手を小馬鹿にした態度を取れる。つまりどう転んでも相手を小馬鹿にすることが出来るのである。

今のご時世、無闇に相手を小馬鹿にすると各種SNSなんかで#キモ豚や#激クサ入道等といったハッシュタグを付けられ晒し上げられるのが常であるが、そんなことをして人を貶めるのはとても褒められた行為ではないし、素直に小馬鹿にされておけばいいのにな、と僕なんかは考えてしまうのだけれどもどうだろう。

 

そんなこんなで良いことずくめの仮定、今回の場合には、空は常に僕たちにメッセージを発信してくれている、という仮定をして、ならば具体的に言って空は一体どういった内容のメッセージを発信してくれているのかを考えてみよう。

空のことである。とてつもなく大きい空なので、おそらくそのメッセージはとてつもなく壮大なメッセージである、とここでも仮定しよう。していこうよ。何しろ空はとてつもなく大きい。何しろ地球がまずめちゃめちゃに大きいワケだんだけれども、空はそんなめちゃめちゃに大きい地球の全てを覆い尽くしているワケなので、そりゃあもうちょっとやそっとの大きさではないということが理解出来るだろう。それは君がよほどのアホでない限りは理解出来るハズなのである。

そんなとてつもない大きさの空が僕たちのようなしょうもない、人間みたいなもんに発信してくれるメッセージとは一体どんなメッセージなのだろうか。

「空のように、とまでは言わないけれど、君らも大きくなるんやで~。」みたいな感じであろうか。はたまた、「空くらいに大きくなる必要はないのやで~。」みたいな、人間に対する励ましの言葉なのであろうか。ちなみにこの「~。」の部分は空の雄大さを臨場感を表す為にあえて"ー"では無く"~"にしているのだということを、そのセンスとホスピタリティを理解していただきたい。君がよほどのアホでない限りは理解できるはずである。

 

ではそんな空からのメッセージを受け取って僕たちは、一体何をすれば良いのだろう。何をすれば雨やら雷やら、何かと忙しい中わざわざメッセージを発信してくれた空に恩返しが出来るのであろうか。

難しいことなんてしなくても良いと思う。他人のゴミまで分別する程度の善行さえはたらいておけば良いと思う。空もそこまで僕たち人間、こんなちっぽけな人間に期待はしていないであろう。悲しいけれどそれは仕方のないことだ。

それに別に僕たちも空に対して、何かメッセージを発信してくれ、なんて頼んだ覚えは無く、強いて言うなら「抜けるような青空だもんなぁ。」と軽く褒めたくらいのことである。それを何を勘違いしたのか勝手にメッセージを発信しておいて「恩返しを~。」なんて求めてくるのならば、それはもう押し込み女房の居直り強盗で火の無い所に煙は立たないしマッチ一本火事の元だ!

 

そんなこんなで結局僕たちは空とどう付き合っていけばいいのだろう、なんて考えてみるのだけれど思いのほか妙案も浮かばず、何だかんだしているうちに暮れなずんで来ました空ですから、ならばと僕たちは「空はメッセージなど発信していない。ノン・メッセージだ。」と仮定してみてはどうでしょう。

そう仮定することによって空への恩返しを何にするかに考えを巡らせて気をモミモミと揉む必要が無くなり、非常にハッピーな人生が拓けて行く気がします。

 

なんてふざけたことを吐かしつ空を見上げると、空から何か英語のスラングっぽいメッセージが発信されたような気がしたよ。