
君は銃士とは一体どういった者のことを呼称するのだと考える。どういった者こそが銃士と呼称さるるにふさわしいと考える。
たとえば夏休みの間だけ校則違反である茶髪に染めていて、しかしいざ始業となる日にも黒髪に染め戻しておらず「本日が始業とはたまらんわー。染める時間無かったっちゅーに(笑)。」などと困った様に、しかしどこか誇らしげに茶髪に染まったままの頭をしゃらしゃらさせつ誰も聞いていないのに「黒染めが市内のドラッグストアから消滅した」とか「実は我こそはゴリゴリのヤンキーであることがバレる、晒される」とかやたらと大きな声で喋りて女子の視線を集めんと必死なかの男子高校生は君にとって銃士と呼べるにふさわしい者であろうか。
それとも、たとえば初対面の相手に対して、
C'mon spin now men.
Ey yo、俺はギンギンギラギラ今年三十路
アラサーまだまだ魅せるファンタジー
レペゼン亀中 張り続けるぜ意地
だがお前は今日もまた現状維持
俺は今日もかますライム ライフタイム
不安皆無 責務タイム チャイムで終業のジョブタイム虚無タイム 家に帰って犬とワンタイム
お前は今日もネカマとメイクラブかね?
俺は今日も仲間とドゥ・ザ・メイクマネー
ビッグマネー ゲトる栄光の明日まで
これが俺 お前が母ちゃんの乳吸う真似(乳を吸うジェスチャー付き)
てな感じでバリバリにディスの入ったフリースタイルラップで自己紹介してくる相手こそが君にとって銃士と呼べるにふさわしい者であろうか。
そうかと思えばたとえば居酒屋でウーロンハイを頼んだのにも関わらず店員さんが間違えてレモンサワーを持ってきたとして、しかしそのお客さんも良い人で「いいですよいいですよ、レモンサワーを飲みますから。」なんて言ってオーダーミスを特に咎める様子も無くレモンサワーを飲もうとしているのであるが店員さんはミスを気にしているのか少しくあたふたしつ「いえいえ、今すぐウーロンハイをお持ち致しますので。そしてそのレモンサワーももしよかったら飲んで下さい。」なんて言ってレモンサワーをサービスする旨と今後の方針をお客さんに伝えているのであるが、お客さんもそこまでされては逆に気をつかうと、そしてそんなに飲めないかもしれぬと思ったのかどうかは知らぬが「いやいや、大丈夫ですよ。」なんて嫌な顔ひとつせず遠慮したりしていて、しかし店員さんもなかなか退かぬので、「いえいえ」「いいよいいよ」「いえいえ」「いいよいいよ」の押し問答がしばし繰り広げられたかと思えばそこで全然関係ない俺が、
「コイツがええ言うとんねやからええやないか!」
と突如カットインし店員さんに怒鳴ったとしてこれが俺の正義だし、俺の選んだ道であるとして、そんな俺を君は銃士と呼べるにふさわしい者と思うのであろうか。
もしも君が俺の蛮勇に心ズッキュン撃ち抜かれポンポンに成り果てたとすれば俺は晴れて銃士としてこの世を跋扈することが出来るようになるし、もしそうなれた暁には俺の知り合いの銃士を呼ぶから「二銃士」として活動していこうと考えているのだがどうだろう。
その知り合いの銃士というのがけっこうベテランの銃士で、この度は新規で銃士になった俺のことも果敢にサポートしてくれるハズであるし、なにしろ君も一人よりも二人、より大人数の銃士が周りに居た方が安心するのではないか?
なのでもし俺のことを銃士と呼べるにふさわしい者だと思うのであれば今すぐ教えてくれ。てゆーか呼んでくれ。そしたら知り合いの銃士に連絡して即アポとって「見参!二銃士」の出来上がりという寸法です。ただもしそのベテランの銃士がすっごい自分を持ってるタイプで「俺は二銃士とかよりも一人でやっていく。」とかしょーもないこと言い出したらすまない。そこは俺も尊重したいと思っている。向こうの方がだいぶ年上だということもあるし。