
突然で申し訳が無いのですが、右ステップと左ステップではどちらが好きなのかな。
これは別に政治的な思想のことを言っているのではなくて、そんなつまらないことではなくて、もし君がステップを踏むのであれば右からなのか左からなのか、そのどちらに未来のダンス・アンバサダーとしての可能性をよりビンナビンナに感じているのかそれを知りたくてこんな晴れた日にかかる平坦な質問を質問しているということで、誠に申し訳なのであるが、どうか真摯に、そして愚直に答え申し奉りて欲しいと思っている。
まず、何事もそうなのであるが、この世のアクションの大抵は足、つまりステップからのスタートであり今居る場所から別の場所次の場所への移動をする為には絶対にステップを踏まねば始まらぬということはもう十分に理解していただけたかと思うが、これは何も実在のステップ、実在の移動にかぎったことではなく精神的な面においてもよりクイックでよりスマートなステップが重要なファクターになってくるということも併せて知っておいていただきたいというのは、たとえば其方がどこぞのブスに恋い焦がれたとして、その非凡なる恋を成就せしめんと本気(マジ)で考えた場合、精神的に今居る場所に立ち尽くしていたとしても何の変化も呼び起せない、何のレヴォ龍ションも来ないということにはよくお分りいただけるのではないだろうか。
だって其方は精神的に今居る場所でそのブスのことを「好意。」となったと聞いておりますから、しかし今居る場所においてはそのブスとの恋が成就していないということでだったら今居る場所からは確実に動かなければ、ステップでもって動き出さなければどうにもならぬということが分かるだろう。
これが精神的にステップのことの重要性のごく簡易的な説明のすべてである。
まあ精神的なステップなことのはどうでも良いとしてどうだろう、今一度考えて欲しい。右ステップ、左ステップ、どちらがより好みであるかを。
ポッとひとつ踏むだけのステップにおいてもこんなに悩みどころの多いものであるということがよおく分かるおでっしゃろう。ダンスとはそれほど人類の歴史、DNAと深めに結びつき、尚且つ人を悩ませ、ゆえに魅了し、だからこそこのAIに全てを支配されている現代社会にあってもダンスというものが滅びず、未だに凄まじい勢力を保って(それはまるでそう、ミッドサマーの台風のように)北上し続けているのである。
しかし安心してほしい。ステップとは、好きな方から好きなだけ踏めば、それが貴方だけのステップになるのだから。
片足のどちらかを選ぶことがもう一方の残された片足に対して申し訳ない場合は両足同時に、それも良いだろう。
それで初めのワンステップさえ踏み出してしまえばあとは三々五々に散り散りバラバラ、好きなようなステップを踏めば良いだけのことだ。
いつか独り立ちするべきである私たちは、そのワンステップ目を好きに踏み出してみればよい。それが各々のステップ、ひいてはダンスに成り上がるのであるからして。