
ホット(hot)を勢い良く言い過ぎてもはや「ハット!」、もしくは「ハァッ!」となっているソウルのシンガーはしかし常にこう考える。
「俺はクール(cool)。」
見た目にも発言にも、また着ている服にもホットなフルボディであるにもかかわらず、頭の気持ちでは自分は途轍も無くクールな輩として世に憚っている、響き渡っていると考えているのであり、事実ホットに振る舞うには誰よりもクールでないといけないので件のソウルのシンガーはその辺のアレの妙を存分に理解しており、またそういったクールつまり冷静な人物であるからこそかようにホットに人を楽しませることが出来ているという寸ポなのでありますよね。
ならば所属するインターナショナルクラブで"ザ・宴会部長"の異名をとるSONICのお二人はどうであろう。
SONICのお二人の盛り上げ上手具合といえばそれはもうただのエンターテイナーの域を遥かに超えており、お二人さえいればなんとかなる、具体的に言うと首脳会談とかですらなんとかなると囁かれており、お二人は首脳会談に呼ばれた際に備えて常にキラキラとした溌剌とした笑顔で準備に余念がないとのこと。
お二人の宴会部長っぷりといえばそれはそれは凄惨なものがあり、私も初めてお二人が参加される宴会に御同席した際は、その聞きしに勝る宴会っぷり、部長っぷりにだいぶん引いたのを今でも昨日のことのように覚えている。
お二人が余興で披露される芸といえば、腹踊り、どじょうすくい、タコ踊り、裸踊り、と古のネタが多く、そしてどちらかと言えば笑わせているのではなく笑われているようなみっともない芸ばかりであるが、どの芸も眼を見張るほどに仕上がりが素晴らしくひとつの芸として完成されている為こちらもただただ感服する他ないという有様であったが、そんな風にホットに宴会の場を盛り上げているお二人の頭の気持ちはあくまで沈着冷静、冷静沈着な、クールな気持ちで、そしてエンタメの精神でもって我々のようなチャランポランの愚民を楽しませてくれていらっしゃりまっせらるということを忘れてはならない。
これだけ完成された芸である、おそらく稽古量も生半可なものではないであろう。お二人のその人を楽しませる為の努力には本当に頭が上がらないし、ドタマもカチ割れそうな猛烈な勢いなのである。
ただ忘れてはならないのが、いくら宴会でみっともない芸を披露していようが、それを見た人を的確に笑わせ、最終的に場の雰囲気を天井知らずにブチ上げられる、果てなど知らずホットにさせられるということは、お二人は相当にみっともない芸をしながらもその場にいる誰よりもクールである、ということである。
なぜなら、ここでこう言えば相手は笑う、ここでこう動けば相手は盛り上がる、ということを瞬時に判断するには経験と知識、そしてそれら自分の持つ引き出しを最大限に活用出来るるようにせれる頭の気持ちのクールさというのが必然的に運命的な加速度で必須となってくる。
これを持ち合わせているからこそお二人は最高に場をホットに出来るるのであるということをこれは常に忘れてはならない。みっともない芸しかしていないからといって「みっともない奴らである。」と早計するような者はチンカスのハゲ以下、ミシシッピの恥さらしと断言してかまわないし、泥亀、すなわち泥で拵えられた亀と言われても仕方のないことなのである。
何が言いたいのかと言うと、ホットの裏にクールあり、これが言いたいねや。