おまえらT3(太陽スリー)

 

俺は違うのだけれども、俺は普通に普通のポンティなガイであって、だから決して違うのだけれども、おまえらはT3(太陽スリー)だと思うわ。

まず笑顔が違うもの。

笑顔がモノホンの笑顔というか、嘘がないというか、おまえらの、T3の笑顔を見ていると、まるで此方が祝福されているような、たとえば冬の暗い夜に地獄の底(ボトム)でひとりぼっちで凍えていようとおまえらの笑顔さえ見られれば俺はハートウォーミングするもの。それって物凄く心温まる事実で、強いて言うならダーティな部分だけが著しく欠落しているのみで、じゃあ別にいいじゃない。

 

「気持ちのいいヤツら。」

おまえらT3と一度でも関わりを持った者は絶対におまえらのことをそう評価するんだ。

俺はおまえらのことをそう評価する者に一人、また一人と出会う度に思う。

「マジでそれな。」

おまえらT3は常に三人組で行動しているよな。男三匹T3ってか?変な話、男が常に三人組でつるんでいるなんていうのはともすれば気持ち悪い、ゲロが出るのこと、むさ苦しい、ウンザリする、ナンプラーの臭い、ってな感じでハッキリ言って世間的にはあまり歓迎されるものではない。特におまえらのように30歳を超えていればそれは尚更だ。

でも違うんだよな、おまえらは。

おまえらは男三匹で常に行動していても全く気持ち悪くなく、むしろ見ている此方は気持ちいいんだよ。なんというか、心がホカホカしてきて、たとえばそう、小学校の頃のプールの授業の後のあのホカホカや(擦られまくっている例えかと思いますです。自分でも情けないと思います。でも仕方ないんです。他にピンとくる例えが無かったのだから…)。

 

正直に言うと初めておまえらと出会った時はインチキくせぇNPOの人みたいな、笑顔で気持ちよく相手の心に付け入って機が熟せばお鍋を買わせるみたいな、そういった人の世の生き血を啜ってサバイヴしている三人組かと訝っていたよ。

でもすぐに分かったよ。「あ、違うな。」って。だって目が違うもの。機会があればあなたの周りにいる我利我利亡者の目を見てみるとよい。その目に映っているあなたの顔は¥、または$に見える筈だ。

「此奴、俺のことを金ヅルとして見ていますね。これは注意ですよ。」

とすぐさ警戒出来る筈だよー。

でもT3、おまえらは違った。

おまえらは俺の、こんなモチモチの肌を持った俺のことをひとりの人間、金ヅルではない血の通った人間として認め、人類愛または地球愛でもって俺を見据えてくれていた。

それが嬉しかった。とても嬉しかった。

 

おまえらT3と出会うまでのオイラ、まるで野良犬のようだったと回想する。町を歩けば手当たり次第に歩き、気に入らないヤツを見つければ手当たり次第に歩き、ガンくれるヤツがいれば容赦なく手当たり次第に歩いて、毎日ひたすらに歩き廻っていたさ。そらもう

毎日足がパンパンで、それでまたイライラして町に飛び出してそして歩き、そしたらまたパンパンになるからもうどうすれば良いのかわからなくなって、嘆いて、はにかんで、もう何処へ行けば良いのか、何処へ歩いて行けば答えが見つかるのか、慌てふためき色めき立って、まるで野良猫のように世を拗ねていた野良犬のような俺、ウロウロする俺だったよ。

 

そんな俺がおまえらT3と出会って明らかに可変した。無闇に歩き廻ることが無くなった。そりゃあ人間だから基本的には歩かないことにはどこにも行けないのだけれども、俺は今、何処かに向かって歩くことしかしなくなった。コンビニに向かって歩く。銀行に向かって歩く。TSUTAYAに向かって歩く。東急ハンズに向かって走る(早く着きたい為)。

そんな有益な日々を送れるようになった。

止まない雨のような日々から抜けだすことが出来た。

止まない雨を抜け出させてくれるのはなんだろう。そう、太陽(sun)だ。

だからおまえらT3のTは太陽のTなんだ。それを俺が名付けたんだ。

仲間に入れてくれ、T4にしてくれ、なんていう野暮は言わないぜ。ただ、たまに側に行って、笑顔を見せてくれないか。

 

俺の心に陽が射すんだ。