
♪まだビンビン
♪まだビンビン
♪まだビンビン
♪まだビンビン
4エイトの間、私は狂っていたか。そうですか。ハッキリと「ヤベェ」という声ありけり。ラーメン食いたけり。
「こんな時間に帰ってるっちゅうことはアレかな、じく(塾)でずっと勉強してはったんちゃうか。あんたももうちょと勉強しいや。」
爆音のダブステップの中で踊る汗だくのオカンが呟く。
「晩飯にコーンフレーク出しといてエラそうなこと言うな。あれは朝食べるもんや。二度と出すなや。出したら殺す。」
私の永遠の反抗期がその瞬間に始まった。
支離滅裂、と聞いて、尻滅裂、と誤解して、やはり魅力を保ち続けるためにはヒップは重要であるよな。みんな、そうだよな。と心の底から思った。心の臓も滅裂している。
友達が"freedom"という「大人のサークル」とやらを立ち上げて何やら企んでいるらしい。企てているらしい。
その友達というのが、四つ打ちさえ鳴れば所構わずロボットダンスを始めるという太陽の化身のような奴で、一度友達のことを、本物のロボットである、と勘違いしたガキどもが町内中から集まって、その一人ひとりに、
「此奴はモノホンのロボットではない。四つ打ちのビートが鳴ると所構わずロボットダンスを始める太陽の化身なのだ。お前らみたいなガキが気軽に話しかけてええ相手とちゃうねん。帰れ。」
と説明していて晩飯(コーンフレーク)を逃してしまったことがある。
今思えば、あの時何故私は四つ打ちの鳴り響くCDコンポーを破壊しなかったのであろう。CDコンポーさえ破壊せしめれば、なにもガキの一人ひとりに説明して回ることもなかっただろうに。四五時間かかることもなかったろうに。
そういう時に冷静になれないのが私のウィークポイントである。
四五時間ぶっ通しでロボットダンスを踊り続けた友達の膝は最早ボロボロになって、しばらくは立ち上がれそうになかったし、空には拍車がかかっていた。
疲れ切った友達はしかし鋭い眼光で紺碧の空を睨め付けながら小さな声で呟いて。
「空に芥。絹にボケ。」
♪まだビンビン
♪まだビンビン
♪まだビンビン
♪まだビンビン
4エイトの間、私は、私ら狂って。