白犬のキーホールダー

 

誰しもが自慢の一品を一品くらいは持っている筈で、いや、そんなモンはない。自慢の一品と呼べるような一品は俺は持ってない。そして持つつもりもない。清貧こそ美徳也。死ね。といったことを思われる方も中にはいらっしゃるかと思いますが、そういう奴の方がクラウンを買ったりロレックスズ?の時計を買ったりするとこれ見よがしに乗ったり時間を確認したりして、しまいには"俺がクラウンを買ったりロスレック?の時計を買ったことによる記念を記念するパーティー"と称して自宅でさり気なく祝賀会を開催したりして、此方としても見ていて相当に尻が痒い、ファオダするようなことがままあり、嗚呼、人間て愚かな、と改めて確認せれれる良い機会となり得るのでそういった人がいることもありがたいのでますが。

 

そんな中、気になるのが私の所有する自慢の一品だと思います。それが世の常人の常。歌は世につれ世は歌につれ。世に悪人在り。ということで私の自慢の一品をこの入道雲湧き立つ真夏の空の下、声高々とご紹介せしめようと今か今かとワナとしております。ここで踵を返すならばそれも良いでしょう。貴方にはその権利がある。そしてもちろん、私にもそれを止める権利がある。そうやってお互いがお互いの権利を尊重する。それが社会生活には大切なんちゃうかな。

 

ということで気になる私の自慢の一品ですがそれはまさしく白犬のキーホールダーしか無いでしょう。

はぁ?白犬のキーホールダー?そんなもん誰しもが何処であっても購入できるような、クソみたいな些細な物ではないかれ。それを自慢の一品ですと大上段から失礼しやがって、無駄な時間をとらせやがって。お詫びに誠意を見せろ。誠意というのは俺を楽しませること、すなわち一発ギャグをせよ。それが面白かったら赦す。面白くなかったら殺す。

といった御仁も御座いましょうが、私の経験からすると後輩にすぐ一発ギャグをさせる先輩というのはクソ人間であり、そして全然面白くない体育会系の大声張り上げ人間だと考えて間違い無いので、そんなクソ人間の命令をヘーコラと聞いているほどこっちもヒマじゃないんで申し訳ないんですが無視致します。

 

最後に私がこの白犬のキーホールダーを如何に自慢に思っているか、はたまた、如何に心の錦の御旗にしているか、そういった観点から作った詩、フル・オリジナルの、ノン・バイオレンスな詩を、これ自体も自慢としてご紹介させてください。

それでは聞いてください。白犬のキーホールダーの所有者である私の書いた詩で、「白犬のキーホールダーのように」。

 

「白犬のキーホールダーのように」

 

私の自慢の一品の、白犬のキーホールダーは今日もカバンの側面で風に揺れて

 

風というか私の歩がカバンに与える振動によって揺れているよ

 

一歩歩めば一回揺れて、二歩歩めば二回揺れて、ダッシュをすればめちゃくちゃに揺れて

 

そうして私の歩調によって揺れる白犬のキーホールダーのように私はなりたい

 

なんでかというと私は私による振動によってのみ動く私でありたくて、だから白犬のキーホールダーのような雰囲気を目指すのかな

 

けどそもそも私は私による振動をまず私が歩むことによっておこしているので、それによって私が揺れ動くのならそれってステキなマッチポンプかしら

 

あと何しろ白犬そのものが可愛いじゃないか

とても可愛い

 

だから前を向いて歩いて行けるんだよね

白犬のキーホールダーを揺らしてね

 

これは私がこの白犬のキーホールダーを母からのお土産(婦人会の温泉旅行の)としてゲッツした時に、そのあまりのキューティング具合にひっくり返り、そのひっくり返った勢いはそのままに机の角に強かに頭をぶつけ、ゴウチッ!と脳を稲妻が貫くような衝撃に襲われた瞬間にふとアタマに浮かんだ、しかしもう頭はめちゃくちゃ痛くて、これ絶対たんコブ出来るやつやん(泣き)、とひとしきり悶え苦しんでいるうちにアタマに浮かんだことは全て忘れてしまったのでまた一からやり直そ、みんなで力合わせてがんばろ、絆で、という気持ちを込めて作った詩なんです。

 

それほど自慢出来るのがこの白犬のキーホールダー。可愛いキーホールダー。お前の彼女の100倍は可愛い。