存在ラーメントリオ

 

ご存知のとおり街には楽しいことばかりが起こっているという街でありまして、そしてその街には老若男女様々な人間が暮らしており、その中でくっ付いたり離れたり、買い物に行ったり孫が出来たりと色とりどりのライフを送っているわけであります。

そんな街の中で一際異彩を放っている者共、この辺りで一等下賤な者共といえば皆が口を揃えて言うのはそう、ラーメントリオという存在でありす。ラーメントリオあす。そう、存在するはラーメントリオ。たとえば午前中にラーメントリオと接見すればその日はもう終わり。そんな一日はもう捨て鉢小鉢のザッピングデイと相場は決まってら。

 

ラーメントリオは皆が皆ジャスコの二階で買ったティンバーランドのパチモンみたいなボリューミーなブーツを履いており、そのブーツはもちろんめちゃめちゃ臭いのでありまして、そして嫌なのが足もロクに上げる事が出来ないクソ人間の集まりであるラーメントリオの者共は、その爆裂に臭いブーツのソールを地面に擦らせるように、ボスッ、ボスッ、ボスッ、と歩きやがるということで、そうだ!今夜は鍋に出汁と豚肉と白菜等の野菜をぶち込みて煮込みてポン酢で食すという、すなわち鍋にしよう!そうしよう!シメはうどんでいいですか?いいですか?って私が私のために私だけのハッピー鍋を作るのだからシメを何にしようが私の自由ですのでそんなわざわざ、いいですか?なんて聞くこと自体がちゃんちゃらちゃらんらということでシメはうどんにします。でも具を食べ終わった時点でお腹がパツンであった場合はシメはカットさせていただきます。当然この、カットさせていただきます、というのも私が私のために私だけのハッピー鍋を作っている以上は誰に断ることなくカットして良いということを今しがた思い知りました。ということでハッピー鍋の具をそれはそれはハッピー気分で買いに行こう!とハイションテンで家より徒歩10分の処にゴロリンっと在るみよしのスーパーというスーパーに向かう道すがらに何処からかこの、ボスッ、ボスッ、ボスッ、というラーメントリオ独特の足音が聞こえてくると急に冷や水を掛けられたが如くヒッ!となり、そしてその姿を認めるまでもなく押し寄せてくるバッドの波に食欲はボトムを突き、あんなに希望に満ち溢れていたハッピー鍋のことは夢のまた夢。ご飯を作るという行為に何の意味も見出せなくなりて、レンジでティンする冷凍のチャーハーンのみをレジでお金と交換してもらいトボトボと家に帰りてティンしてチャーハーンを食いたのみとなってしまうのですよね。

 

そんな他者に生理的嫌悪感を覚えさせることにおいては右に出る者は居ないラーメントリオであるが、そもそも何がどうラーメントリオなのかということを説明しておかねばならないですよね何事も。何事も説明が大事。

ラーメントリオの蔑称の由来はご想像のとおり揃いも揃ってラーメンを食べるカスみたいなトリオだからラーメントリオなのであるが、意外なことにラーメントリオがラーメンを食べる店は決まっており、まあラーメントリオみたいなもんは皆が皆アホなので地球上には他にもラーメン店があることを知らないのかも知れないが、駅から少し歩いたところにある老舗のラーメン店、じょんじょろげ麺、でしかラーメントリオはラーメンを食べないのです。

 

じょんじょろげ麺は野菜たっぷりのタンメンが売りの人気ラーメン店で、カウンターのみ8席の小さな場末のラーメン店であるにも関わらず平日でも行列が出来るほどの人気ラーメン店で、雑誌のラーメン店特集などでは必ずその店名が不細工な店主の写真と共に掲載されるほどの人気ラーメン店で、それほどに人気ラーメン店なんです。

そんなじょんじょろげ麺に休日の昼時という一番混み合う時間にラーメントリオは恥ずかし気もなくボスッ、ボスッ、ボスッ、とバスでやって来るのですが、バスでたった一駅という短距離にも関わらずバスでやって来るというのがキモさを更に際立たせているということに当の本人たちは気付く筈もなくノコノコやって来まっしゃるのですが、何が腹立つかってラーメントリオはカウンターのみのその店でトリオで三席並んで座れるまで席が空くのを待つというところで、ラーメンぐらい随意の順で座って一人で食えやと私は思うのですが、ラーメントリオは三並びにしてくれと譲らずただでさえ混み合って常に満席であるじょんじょろげ麺にあって三席が並びで空くということはなかなか無いのであるがそれ故に店員さんが他のお客さんの食べるペースを計算しつつラーメントリオの後ろに並ぶ一人客を先に席に通したり、すでに食べているお客さんに席を詰めてもらったりして何とか三並びの席を用意するという無駄な労力を昼のピーク時に消費せられていて店員さんが可哀想なんです。

 

そればかりかラーメントリオは、ラーメンの写真を撮ってみたり、「安定のこれね!安定しての旨さの!」などと常連感を周囲にアピールしてみたり、全然おもんない話を聞こえよがしに話したり、食い終わったかと思えばダラダラと全然おもんない話を延々としてみたり、「そろそろ混んできたから、いこか。」とさっきからずっと混んでいることに今更気付いて全然おもんない話をようやく切り上げたかと思えば会計を別々にしやれ小銭が無いだの万札しか無いだのとたっぷり時間をかけて会計を済ませた後に連れ立ってパチンコへ向かうのだから死ねばいいのにと思うのも当然でしょう。しかもラーメントリオは自分たちで自分たちのことを面白いと思っているので始末の悪い地獄の犬だよラーメントリオ。

 

しかも、まあこれは此方の責任なんですけどラーメントリオはラーメントリオという蔑称で呼ばれているにも関わらず、なんとラーメン店、つまりじょんじょろげ麺にはひと月に行っても2回程度と全然ラーメンを食べに行かないトリオであることで、ラーメントリオならばせめてラーメントリオらしくラーメンばっかり食べておけよと憤ってしまい結果的に私の食欲は著しく減衰しハッピー鍋のことはまたも夢のまた夢。私はガリガリになりそうです。

 

そんなラーメントリオのうちのひとり、いつ見ても髭がジョリジョリしている通称ジョリ公はラーメントリオの他の二人の肩を抱きながら歩いていることが多く、私は彼奴はホモだと思っています。