
人間、収まるところに収まるもの。それは仕事、それはパートナー、それは住まい。その人が収まるベクして収まっているわけでして、なので結果的にはなんとなく納得して其処へと収まっているのだらうと思われますよね。ただやはり、いつの時代も「俺はこんなもんじゃない。もっと行ける。もっとバチコンかませる。俺はこんな処で小さく収まるなんて御免だ。」なんて嘯いて、己の能力を過信して暴走していくタイプの人間は存在するもの。ここではないどこかへ、とにかくここからランナウェイだ。こうした無鉄砲な考えによって一も二もなく飛び出していく若い翼が、私は素晴らしきものだなと思う。
ただ、そんな無鉄砲な若き翼、そして血潮が飛び出す時に注意しなければいけないのが、「あまり変な処から飛び出さない」ということである。
たとえばよく言われるのが、"他人の家から飛び出してはいけない"というもので、若き翼はさすがに若きだけあって行動が無秩序であり思い立ったその瞬間に心より先に体が動いているということが往々にしてあり、たとえそこが友達や親戚の家つまり他人の家であろうが御構い無しに天下御免ということでいきなり「俺はいくぜ。やってやるぜ。ブチかまして、飛び出していくぜ。」とか言って無闇に飛び出していくといったインシデントもままあり、しかし慣れない間取りの他人の家から飛び出したは良いが思いのほか大通りまでは距離があり、たどり着く頃にはもう当初の勢いは失われていて結局暫しウロウロした挙句チキンナゲットを購入して再び他人の家へと帰りみんなでそれをワイワイ食べる、といった具合に「すごい気合いでチキンナゲットを買いに行くヤツ」みたいになってしまうのでやはり他人の家から飛び出すのは控えた方が良いのである。
そしてこれは前述のものの応用編的事例なので挙げておきたいのであるが、"知らない人の家に向かって飛び出す"、これも知っているようで知らない若き翼の多きこと。
これに関しては、少し考えれば分かりそうなものであるが、たとえば住宅街をアホみたいな顔して歩いている際に急に貴様の中の若き翼が鎌首を持ち上げ、居ても立っても居られないとなりてその勢いのままに飛び出してはみたものの、よく考えたらここは知らない土地だし適当な飛び出し先が見つからない。こりゃあもうやけっぱちだぜ若さゆえ、ということで知らない人の家にすごい勢いで飛び出していく。これも若さといえば若さであるがしかし考えてみてほしい。
もしも君が家でリラクゼーションしている際に、見ず知らずの若者が飛び込んで来たらどうだろう。ビックリするであろう。もうちょっとでオシッコが漏れる程にビックリするであろう。
当然のことであるが無闇に他人にオシッコを漏らさせてはならない。それが知らない人とあれば尚更だ。それは若さ故の過ちにしては些か行き過ぎというものである。また、他人に無闇にゴリラを差し向けてはならない。そして無闇に他人のモノを勝手に食べてはいけない。
最低限の筋も通せないようでは、飛び出す者として飛び出して行く君を、誰も応援してくれないであろう。思い出したように、ペチャパイ、とか呟くのもやめておいた方がいいだろう。それは顰蹙を買うこととなる。
ただ忘れてはいけないのは、君が飛び出すとき、それを躊躇っては良くないということである。若き翼はいつでも飛び出せる権利を持っているし、また、苦い物を極力食べないようにする権利も持っているのだ。
君を阻害する者は誰もいない。実家に若干の迷惑はかかるかもしれぬが、出世払いという絵空事でも吹かしていればよい。
だって仕方ないだろう。未来が無限なのだから。