
森の奥深く、木々がヤバいほど茂るこの森の奥深くには秘密の泉が湧き出でている。
秘密の泉の水はヤバいほど透き通っており、これは大げさであるがぱっと見ではそこに水があるとは思えないほどにヤバいほど透き通っており、その泉を初めて目にした者は口を揃えて、「あんなに透き通った泉を見たことは、我が人生においてハチュ、は、初の出来事であり、それはとてもエポックなことであった。かなり大げさに言うと、ぱっと見た感じ水が入ってへんのかと思うほどに透き通っており、でもまぁ水が入っているだけのことはあってわずかに青みがかっているので、すぐにそこに水が入っているということは解りますね。初めの一瞬ですわ、水が入ってへんのかなと勘違いするのは。」と泉の湛える水の透き通り具合を賞賛した。
そんな森の奥深くに湧き出でる泉の水を求めて、今日も冒険者たちはヤバいほど気合いを入れて森の奥深くまで進んでいく。
何をそんなに森の奥深くへ進むことに気合いを入れるんですか?どうせあれでしょ?シルバニアファミリーが暮らしているような平和で豊かな森なんでしょ?とよく勘違いされがちであるが、実際には森には虎をはじめとして熊やジャガー、猛毒を持った蛇に、猛毒を持ったカエル、なんの取り柄もないウサギなどが跳梁跋扈しており、一歩足を踏み入れれば無事に戻ることは出来ないと言われており、しかしキチンとした装備で突入すれば当たり前ではあるが怪我は最小限に抑えることが出来るので冒険者たちはあらかじめ万全の備えを整えてから森へ入って行くのでしたがって比較的何事もなく還ってくることが多い。
さて、冒険者たちは何故そんな命の危険を犯してまでも泉の水を求めて森へと闖入するのであろうか。
もちろん、泉の水を持って帰るためである。そう、持って帰るのもそうだし、その場で飲むことももちろんある。森を歩きて喉がカラカラであるのがその場で飲む何よりの理由だ。
その水を一口飲めば、小さめの熊とならばタイマンで勝てそうなくらいに身体中に元気が漲り、気は溢れ、彼女も出来、三連単を当て、愛の意味を知り、そして失う悲しみを知り、しかしそれを乗り越える強さを得て、盛者必衰の理をあらはす、みたいなことになるのであり、一言でいえばボディそのものにヤバいほどパワーが宿るということなんです。
「健康の為なら死ねる」なんて冗談をよく耳にしますが、森の奥深くに入って危険を冒してまで泉の水を飲むなんていう行為はまさに命がけのヘルスケアであり、てゆーかそもそも森の奥深くまで入って無事に戻って来られるような人間はわざわざ泉の水なんて飲まなくても充分に健康であると私は思うが、健康の達人からすれば死と隣り合わせでない生にあってはいくら健康を享受しようが、それは達人に言わせれば豚の健康であり、本当の健康とは可能なかぎり死に近づいてこそ輝きを放つ狼の健康なのであって、森の外から森を眺め、安全な場所に居る己の健康を歓ぶような豚の健康など健康の達人からすれば生きながらにして死んでいる、いわばゾンビのような存在なのだそうで、これを豚の健康側の人間に言ってめちゃくちゃ怒られたことも一度や二度ではないそうです。ほっといてくれ、と言われたそうである。
それもそのはず。健康の達人も良かれと思って豚の健康側の人間に対し狼の健康こそが本当の健康であるということを注進したのだとは思うが、それは自分が禁煙に成功したからといって他の喫煙者に対して良く晴れた夏の昼下がりに「いやまずね、飯が美味くなるよ。タバコを吸ってた時はデフォルト状態で口の中に雑味があるじゃない。それが無くなるってことは?(笑)まあおかげでタバコを吸ってた時よりも5キロも太っちゃったけどね(笑)それに今はほら、吸える場所もどんどん減っていってさあ。街角の薄暗い狭い喫煙所に追いやられて、芋洗い状態で有害な煙を吸うって今考えたらどんな罰ゲームだよって感じだよね。あんな芋洗い状態のところだと他人の灰が服や靴にしょっちゅう落ちるし。しかも芋洗い状態で火の点いたタバコを持ってるから危ないしね。あんな芋洗い状態で誰かの服に火でも付いたら忽ち周りの喫煙者に引火して焼き芋状態になるよ。え?なに焼き芋状態って。(笑)そもそも芋洗い状態ってなによ。(笑)ここまでピンとこない例えもあんまりないよな。そうだよな。」てな感じで此方がタバコに火を点けるたびにいちいちゴチャゴチャと何やら吐かしてきゃあがる奴輩と同じで平穏無事に暮らしている此方からすればそれは非常にウザいということで、リラクゼーションタイムを邪魔されているということで、それ故に怒鳴り散らして退散させたりしてしまうんじゃないでしょうか。豚の健康側の人間も。
他人のボディは他人のボディ。たとえ人間生活の根幹に関わるボディの健康のこととはいえ、押し付けは良くないのである。