あな素晴らしやコーラスクラブ

 

人が最も歓びを感じることはなんだろう。それは春の訪れを知らせる風?それはヌードルの出来上がりを知らせるアラーム?それは愛犬が膝の上で寝てしまったとき?それはウンコしたとき水が全く跳ねずに着水せしめたとき?

いえいえ、人が最も歓びを感じること、それは愛する人と一緒に過ごす静かな夜でございます。そして次点で、信頼し合える仲間たちとともにひとつのものを作り上げること、つまり一人ひとりの声をぐちゃぐちゃに混ざり合わせて、攪拌して成型して、バラバラであった響きをひとつにするような、産まれた時と場所は違えど死ぬときは一緒、みたいな、そんなこと。それはコーラスクラブのことでございます。

 

どっかのネイティブなんとかみたいなのに伝わる神話の一節にこんな言葉が載っております。つたない現代語訳で申し訳ありませんが、土下座でも何でも致します故、どうか読んでやってくださいな。

 

ー汝、ババアどもが本気で歌うとき、ジジイどもが本気で歌うとき、その声混ざり合いて揺らめいて煌めいて、安寧の地に響き渡れば、混沌の世は終わり、世界に光が満ち溢れて薄ら良くなっていくと知っとけー

 

(新世紀コッキング神話 第1章4節より)

 

これはまさにコーラスクラブのことを予言しているものでございまして、そして救いの言葉でありまして、みなさんのようなズブのど素人でも本気で歌って響き渡らせられることができれば、お前らみたいなもんでも世界の混沌を払い世を明るく照らせますよ、という先人たちの想いが、気合いが込めさせられてございます。

 

ただ、コーラスクラブなんて簡単に言われても、歌に自信が無いし不細工だし、そんなもんに興味と世界平和の為にチョロっと入ったところで、他のババアとうまくやっていけるかしら。初めはやはりみなさん、そのような不安に押しつぶされそうになり、やがて眠れぬ夜を迎え、仕方がないので深夜ラジオを聴き始め、なんの気なしに冷やかしで送ったネタがスマッシュヒットを放ち、これは、と思った貴方は毎週のようにネタを投稿し、採用や不採用を繰り返しながら、読まれやすいネタ、バズりやすいネタを研究し、いつしかラジオパーソナリティや他のリスナーから"ハガキ職人"などと持て囃されるようになり、試しにハガキの隅に「実は放送作家に興味があったりして(笑)」なんて戯れに書いてみたらなんと!そのラジオ番組の放送作家から直接連絡が来て、「もし本気で放送作家を目指すなら、僕の下について少し業界のことを学んでみてはどうか」みたいな具体的な話になってきて今度ラジオの新番組の放送作家としてデビューするんですわ、ってな感じのことになる方の多いこと多いこと。

 

あのな、コーラスクラブに入ることなんて、そんなに気負うようなことでは無いのですよ。

もともと歌に自信がある方でも、やはりコーラスというのは周りの歌声との調和を意識した声の出し方が重要となってくる為、J-POPに毒された資本主義の豚みたいな鼻にかかった、豚鼻にかかったような声はコーラスにおいては全く使い物にならず、ソプラノは任せられないというか、アルトもテナーも私がやるというか、そう、なんか中途半端に歌に自信があるばっかりに、歌っている最中にやたらとオーバーに手を動かしたりして一人でロックしている初心者の方って実は結構いらっしゃるんですが、コーラスのときは両手を鳩尾辺りで軽く組んで歌えや、みんなそうしてるやろ、という方もいらっしゃいますので歌の上手い下手はコーラスには実は全然関係ありませんし、それこそ不細工であっても、そんなものコーラスしてる、歌っている時のほうがより不細工になりますので「あれ、歌ってるときに比べれば随分と美人なことで」となればお得ではございませんか。

 

あな素晴らしやコーラスクラブ。

私たちのコーラスクラブでは、随時メンバーを募集しております。

年齢性別不問、親戚縁者に服役中または前科のある者がいないこと、食べ物の好き嫌いが少ないこと、集めたベルマークをクラブに提供できること、家があること、以上の条件とまだちょっと細かい条件(ふきんのことをダスターと呼ばないこと、ウエストポーチを愛用すること、etc...)があるのですが、それさえ満たしていれば私たちのコーラスクラブにはどちら様も大歓迎でのことございます。

 

毎週火、木曜日が練習日となっておりまして、いつでも気軽に見学に来ていただくことができます。不細工でも大丈夫です。お待ちしております。