ファッション無頓着

 

パリの合言葉がまだ「グランド・ファッション」だった頃、御多分に洩れずこの島国の小さなファッション業界にも深刻なアパレル不況みたいなのがやってきており、よほどのファッショニスタ以外はお出かけの際は"最悪、アナルさえ隠れていれば良い"的なその場しのぎの退屈なファッションで、しかも右に倣えの民族性、どんどんとそういった無頓着ファッションの若者が平気な顔で街をカッポカッポと闊歩っ歩している現状を憂いているこの私は真のファッショニスタというワケでは無いのですが、しかしこの界隈でファッションの権化といえばやはり私ですからね。若者たちのファッション無頓着に対してゴリゴリに心配しています、というのが本音でありまして、つーかお前何がそんなに心配かって若者よ、若きファッショニスタたちよ、「無頓着」は加速していくものだぞ。

 

今はまだ"最悪、アナルさえ隠れていれば良い"で済んでいるかもしれないものの、今まで相当に頓着しており、雑誌やテレビで最新の流行を追いかけたり、バイトの御給金のほとんどをファッションと脱法ハーブに費やしてきた君たち若者は、いざそれに頓着が無くなった瞬間に

「え?ハァーッショ?ファンショウ?もうぶっちゃけどっちゃらけでもロッぺーかなって。なんかもう暑くなきゃ寒くなきゃまっしょいっつーか。なんか服とかよりも俺ら自身が生まれたままのマッシヴ、ソリッド、チーズinハンバーグなのだって。そんなことより今週末はホーミーと金玉越しの逆さ富士を見に行くんでクルマ出してくれっす。ヨロで。」

なんてほたえるようになったかと思えば "最悪、アナルさえ隠れていれば良い" としていたのが、"なんとなく、アナルが隠れていれば嬉しい"となり次第に"逆にアナルが隠れてないからってなによ?"とちょっとムカついてきて最終的には"もうアナルは隠さないし、乳首に雑草を絞った汁を塗りたくってかぶれさせ、そしてカリカリの乳首ないし乳輪となって貴方の記憶の中で永遠に輝き続ける"となるまで無頓着は加速してゆくということを今一度考えておいていただければと思います。

 

いくらファッションに無頓着とはいえ現在、法的に一糸まとわぬ、とまではいかないけれど、かといって衣服を一切まとわずチンチンを輪ゴムで縛っただけの格好で敷地外を歩くことは許されておりません。え?歩くことが許されてない?ほんならダッシュやったらええんかい。おいみんな!チンチン輪をゴムで縛って街をダッシュしに行こか!俺は赤の輪ゴム!とか言い出す貴方でしょうが、無論ダッシュもダメっつーか人目に触れてはいけないということをどうして一発で理解してもらえないのでしょうか。それくらいのこと、わざわざ言わなくてもわかりそうなものですが。

もちろん敷地内であっても人目に触れるようならそれは法律または条例違反となり御用の後に折檻、Gメンによる本気の制裁が加えられ軽い骨折をしつつ勝手に自宅を座敷牢にリフォームされそこへ入獄。一年間毎日ノートに筆ペンで「ごめんなさい」を一万回書くという刑務を課せられ、しかも筆ペンの購入代金は自己負担となるので一族郎党にも多大な迷惑がかかるということを自覚しておきなさい。

 

 

無頓着の果てにバビロンに捕らえられているようでは折角無頓着であることにより自由になった貴方のマッシヴ、ソリッドな自分自身が世に充分に伝わらないということで、これは残念なことですよね。わかったらもう一度、パリの合言葉、「グランド・ファッション」から学び直してみてはいかがでしゃー。