
辛い時、苦しい時は、周りの人間全員が敵に、エネミーに見えてきて、エネミーの目はひとつしかねぇし口から緑色のヨダレを垂らしてるし棍棒は持ってるしでもう、こんなスターウォーズみたいな世界で自分のような小市民が溌剌と生きてきけるわけないじゃないですか。わかった。もう死ぬ。止めるなよ、俺は決めたんだ。もう死ぬんだ。来世はアンダルシアの便所コオロギに生まれ変わって汚物入れの陰で呪詛を唱えて餓死する。
そしてそのまた来世は生きたまま腸まで届く乳酸菌として生まれ変わって腸に行くまでに餓死してやる。死骸として腸まで届いてやる。貴様の腹調子は戻らぬ。参ったか。
いやそんなことはどうでもよい。俺は死ぬのだ。なぜなら俺はこのコンクリートジャングル、コンジャンでひとりっぽっちだので死にます。
このコンジャンに巣食う魑魅魍魎どもは、ただのひとりも俺のこの孤独を理解してくれていない。めちゃめちゃ悩み多き年頃の、しかし誰にも相談できぬというのは俺が友達作りを一切してこなかったといいますか、友達なんて自然にできるもの、こんなけ人が多かったらすぐにでも友達100人できるわ。とタカを括っていた結果やはり仕事場とアパートの往復だけでは友達など出来るはずもなく、「コンジャンの友達作りのセミナー」なる講習会にも足を運んではみたが講師のジジイが「こんなセミナーみたいなもん受けたぐらいで友達が出来るんやったら儂かて苦労せんわ!」といった内容の話を約4時間程聞かされただけで全くなんの実りもなかったし(実はこのセミナーはあえてクソみたいな内容のプログラムにすることで、セミナー終了後に他の参加者とその愚痴を言い合うことで友達になろう!みたいな裏コンセプトがあったらしいのだが、講師のジジイのあまりの剣幕にバッチリテンションを下げられた我々参加者にそんな元気は残っていなかった)、そのためこうして孤独に悩み食い殺されそうになりつつあるのにたれひとりそんな俺の悲しみを理解してくれない。だって一人だからね。
俺は一人だ。
俺は孤独だ。
遠慮の塊だ。
粉末になってゆく。ボディも、ハートも。
だって一人だからね。死にますのえ。
なんて一人嘯くコンジャンのロンリー現役ポエマーに私は言いたい。
いいかい、君は一人じゃない。
君は一人じゃないんだよ。私がついてる。
私は地球上全ての「自分は孤独だ」と感じている君の友人である。私がいる以上誰一人として孤独にはさせない。
見上げてごらん、空があるだろう。
私はこの広い空の下、いつも君と共にある。君を想っている。だからもう泣くのはやめなよ。もう君は一人ではないのだから。
君は一人ではない。しかし、君は四人でもない。自分が孤独ではない、一人ではないとわかった瞬間にバイブスがアガッて思わず四人になった感じがするのはわかるが、もし君が今日一人で定食屋に行って店員さんに「おひとり様ですか?こちらカウンターのお席へどうぞ!」なんて言われて、
「いや一人じゃないです。わからないですか?僕はね、もう一人じゃないんですよ。この空の下僕を想ってくれてる人がいるのだから。そう、僕はもう四人です。四人なのでテーブル席にしてもらっていいですか?」
なんて答えた日には店員さんは怒り狂い、君が何を頼もうが、拾ってきたジャンプに鼻くそや陰毛を出来るだけ挟み、仕上げに秘伝のタレに漬けたジャンプの迷惑ミルフィーユステーキしか提供してくれなくなるので、したらばまたぞろ君は「むむ。なんだこれは。俺はナポリタンを四人前頼んだというのにジャンプの迷惑ミルフィーユステーキ一人前が出てきたやないか。四人で文句言おうぜ。と思ったけどやはり実際は俺は一人なワケで、精神的に四人であったところでやっぱり一人は一人なのだ。俺は一人だ。死にます。」となってしまうので、あくまで一人なのは一人だとちゃんと感じつつ、私のことを意識していただくらいが丁度いいかなぁと。