
大人の大変さみたいなことをよ、いくら子供に説明したところで理解できないってのはわかってるからよ、ならばせめて子供はよ、元気出していけよな。
まあちょっと言いますとね、大人ってのはランチに2、3000円も平気で使うワケよ。ほんでそんなけ高いランチだったらさぞ美味しいものが出てくるって期待するではないか。でも結果出てくるのはやたらと香りの強い、クセのある葉野菜のサラダとか、広大な面積のお皿の真ん中あたりにちょこんっと鎮座ましましてるパスタとかね、水牛モッツァレラを使っておりますみたいな、そんなんですよ。だいたい"トラットリア"ってなんやねん。
だったらガストでバーグ食いたいっての!バーグってのはハンバーグのことね。これプロの呼び方。そしてサイゼで辛味チキンしゃぶりたいっての!
でも大人が行くのはおしゃれランチの店じゃない。高いお金払ってんじゃない。多少「なんやこれは。こんな名前のわからん野菜を使うなや。消化できんのかこれ。」みたいなことを思ったとしてそんなこと口に出せないじゃない。そんなこと口に出した日にはおしゃれランチの店で働くおしゃれ店員さんに「あら、あの見るからにアホみたいな客がなんかほざいてるわね。あんな原始人みたいなやつぁなに食っても腹なんて壊さねぇよ!注文するときもおしゃれメニューを口に出すのが恥ずかしいんか知らんけど「あ、あのー、こでください。ランチのAのやつ。すばげでぃの。スープはこでにしてください。え?冷製スープ?スープがつべたいんですか?(なんでや...焦)ほならこっちは?これはあったかいのスープ?ほなこちにしてください。コーヒ?食前..食後...、ほな食後にしよかな。食後で。はい、それでお願いします。メニューがデカいですね。びっくりドンキーみたい。」とか言って半泣きでオーダーしてんのよ。笑ろてまいそうになったわよ。まぁあんな猿みたいなやつぁどうせ味なんかわからないでしょうから私の鼻くそでも放り込んどいてやろうかしら。それは愉快な。」とか思われてバカにされてシェフはシェフで4割くらいの力で調理しやがって、ゲームボーイの片手間に調理しやがって結局2、3000円も払った割には大して美味くもないなと思いつつも此方人等貧乏性なので大枚叩いて食べたものは美味しいと思い込むしかないじゃない。「お、おーいしぃな。」とか言いながら苦笑いしてる俺を見ておしゃれ店員とシェフはもうバックヤードで爆笑ですよ。バカにすんなれ!殺すぞ!
とまぁこのやうに大人ってのは絶えず世間と戦いながら、ランチひとつとっても強烈な自意識や過剰な杞憂の中で戦いながら日々を泳いでいかないといけないわけよ。
どう?大変じゃない?つーかそういうおしゃれランチの店ってさ、ビールがもう鬼高ぇのよ。
なんか聞き慣れない製法で丁寧に作られたかなんか知らんけど小ビンで800円ですよ。来来亭のラーメンより高いビールてなんやねん。主食より高いビールてなんやねん。そんなけ高価なビールならさぞ素晴らしい酩酊体験、質の良いカンナビスに匹敵するような多幸感でもって私を涅槃に連れてってくれるのだねと思うじゃない。でもそれはそれ、これはこれ。せいぜい「あら、なんかフル~ティな感じを感じる。まぁそれだけ。」くらいのもんですよ。ふざけんなよ。なにがハーフドライトマトじゃアホが。半乾きのもんを客に食わすな。
とまぁこのやうに文句ばっかり言いがちなのが大人というものですが、とりあえず子供たちよ。もし貴様等がある程度自由に使えるお金を手にして休日の昼下がりに恋人とおしゃれランチにでもしけ込もうとあれば、この俺の言ってたこと、よく思い出すんだぜ。
そして柄にもない真似はせずに、身の丈にあった消費をして少しでも社会に貢献するのや。だから今のうちは、子供らしく、元気出してけ。