どっちべし

 

あしたのためのその1。相手の正面に立って、それは嫌いなムカつく相手の正面に。そしてそ奴気持ち悪い顔を貫くやうなイメージをして、顔の真ん中に風穴を開けたるねんというイメージを。正月に空港でスーツケースに乗っかりつつインタビューを受けて眠たそうに「ハワァイいくの。」とかほざいてるガキに対する劣等感を思い出せ。自分の着てる服よりも、たぶんこのガキの着てる服の方が高い。なんなら貯金額も負けてそうだ。正月にハワイに行くような家庭だ。それはそれは金持ちなのだろう。親戚からもらう年玉の額だけで俺の年収の半分くらいいくのだろう。部屋だって俺の方が狭いぜ。このガキの飼ってる犬の部屋より狭いぜ。という劣等感を思い出せ。ただ、正月にハワイに旅行に行くというセンスがゼロしかない両親の下に産まれたことだけは慰めてやれ。あれはアレなんですかね、金持ちにのところには ''正月はハワイに行くべし'' みたいな通達が国から届いたりするんですかね。それ故に金持ちは正月にハワイに行く、みんな、アホみたいに、芸能人とか、ってことなんですかね。そのハワイ行きの飛行機が落ちないようにせいぜい祈っとけや。ということを思い出せ。

 

あとアレは何なんですかね。やたらとデカい、競輪選手みたいなサングラスしてるオタクっぽい格好の人。全身上から下まで芋っぽく野暮ったくてダサいのにサングラスだけやたらとオフェンシブな人。スポーティブな人。どれだけダサい格好をしていようがサングラスが全てを解決してくれると考えているのだとしたら、そんなに甘くないぜ、ということを感じて欲しい、肌で。もし本当に日差しが眩しいということで、利便性ということでサングラスをしているのなら、もう少し控えめな、そんなレーシングカーみたいなカラーリングのやつはやめておいて、かといってレイバンのウェイファーラーも違うと思うし、まあまず身なりを整えろ。ポケットがいっぱい付いてるベストとか、謎の筆記体がデザインされてるシャツとか、ウエストポーチとかやめなさい。あと痩せろ。デブはみっともないぞ。サングラスはそれからだ。お前みたいなもんは眩しがっとけ。ということを染み込ませろ。

 

そして坂本竜馬が大好きなオジサンのことをイマジンしろ。坂本竜馬が大好きなオジサンはいつだって自分のことのように坂本竜馬のことを話す。竜馬がいかに偉大かを、竜馬のことをあまり知らない親戚の子供とかに長々と垂れるし、竜馬入門へのオススメの一冊も教えてくれるし、飼っている犬にリョーマという名前を付けて喜んでいるし、最終的には「だからよっくんも竜馬のことをいっぱい勉強して、竜馬みたいに歴史に名を残すような偉大な人になってくれたら、オジサン嬉しいな。うん。嬉しいぜよ!」とか言って、お前は竜馬のこといっぱい勉強してる割に全然竜馬みたいに偉大になってないやんけ。お年玉も何やアレ、五千円て。そんなしょっぱいオジサンに竜馬のことをいくら語られようが全然グッと来ません。ぜよぜよ来ません。中学生を舐めんなよ!とか言うてる中学生は正月にハワイに行ったことのない者なのだ。つまりはこちらサイドの人生なのだ。でもやっぱあちらサイドに行けるもんなら行きたいじゃないか。毎日好きなだけ上品な味付けのモノを食べたいではないか。そしてたまに親の目を盗んでカップラーメンを食べたり。うん。そうなろう。あすなろう。あしたのためにその1だぜ。よぉく覚えときな。あしたに行きたいという気持ちを拳に乗せて、相手の目をよく見て、足で大地を掴んで、しっかりと腰を入れて、さぁ。

 

打つべし!

 

打たないべし!