ブスとつけまつ毛

 

物見遊山的にメイド喫茶に初めて入った時に悲しい、そしてムカつく事実があることにすぐ気づきました。

それはオムライスが1,200円もすることや、希望する者はそのオムライスにケチャップで名前を書いてもらえるが、その場合は500円の追加料金がかかることや、スペシャル何とかパフェ(ツーショットチェキ付き)が1,800円もして、オムライスを頼んで更に名前を書いてもらった場合の合計金額よりも高くつくことなんかではなく、もっと悲しく、そしてムカつくことでした。

 

メイド喫茶のメイドさんは、メイド喫茶で働こうという発想になるだけあって、さすがに可愛らしい容貌の方が多かったのですが、たくさんいるメイドさんの中には、何故周囲の人間が止めなかったのか、世間には思いやりというものがないのか、と世を憂いてしまうほどの、どういう了見でメイド喫茶で働いているのか理解できないブスもちらほらいてらっしゃいました。

 

私は、これはもしやブスメイドは何かの罰ゲーム、または高度なイジメとしてメイド喫茶で働かされてるんとちゃいますか。そしてもちろんアガリは何やかんや言われて抜かれたりちょろまかされたりしている悲しい主従関係が背後にあるんとちゃいますか。それは良くないことです。私そういうのは許せないんです。と正義に奮い立ち、ブスメイドの働く様子を仔細に観察しておりましたところ、意外なことにブスメイドは極めて楽しそうに、溌剌とした様子で働いておりましたので、あら、やっぱ自分の意思で働いておらっしゃるんですな。ひとりごちてはみたものの、ハタと他の可愛らしいメイドさん達とブスメイド達の違いに気づいたのです。

 

それは、可愛らしいメイドさん達はユニホームであるメイド服をそのままシンプルに着ているのに対し、ブスメイド達はやれ猫の耳のカチューシャを付けたり、スカートのケツの所にホワホワの尻尾のアクセサリーを付けたり、やたらとデカい造花が付いたヘアゴムを手首に付けていたりと、何かしらのエクストラアイテムを身に付けているということです。

それがメイド喫茶のオーナーが「おまえらみたいなもんはコレでも付けて少しでも可愛さの平均上げろや」と準備したモノであるならばこれは許せないことですが、どうもそんな様子ではなく、猫耳カチューシャを活かして猫のように語尾に「にゃー」とか言いながら話したり、尻尾で客の太もも辺りをサササーッと撫でたり、「かわいーでしょ?このお花わたしくらいかわいーでしょ?笑」など言ってみたり、いずれも装備したアイテムを活かした、世が世なら殺されてもおかしくないような奇行を繰り返して客から容赦ない苦笑いを浴びせかけられていたのです…。

 

''ブスは飾る''

 

これが、私がメイド喫茶に行って得たひとつの真理です。

 

''ブスはつけまつ毛のボリュームがすごい''

 

これが今朝電車の中で得たひとつの真理です。

 

まぁそんな感じで。