
なるべく手を汚さずに生きていきたいもの。
汚れなき両手で生きていきたいもの。
人間に生まれたからには、複雑な感情を携えているからには、だからこそなるべく純真無垢に生きていきたいもの。
清廉潔白に生き、誰にも恥じることのない来し方行く末を全うしたいもの。
そしてたまには親しい友人と秘密を分け合って生きたいもの。
この世で私とヤツしか知らないことを、複数のその他とシェアしたい気持ちを抑えつつ、何食わぬ顔で日々を生きたいもの。
かつて書こうと取り掛かり、二行くらい書いたままパソコンのデータの奥に眠る物語を完成させたいもの。
かつて学ぼうと取り掛かり、初めの一冊で引退を決めてしまったボールペン習字を修了したいもの。
こうのように、こうなりたい、こうありたいという願望を引きずり出してみては、あなや、私はなんという私の思う理想の私から遠ざかった人間であることかということを改めて感じてしまい今夜もひとりの部屋でゴソゴソとアホみたいに陰惨な生活を営んでいるちょっぴりおきゃんなロンリーボーイなので。
でもまあこれは誰かが言ってたことなのだけど、誰かとはすごい偉い人、おまえらより全然偉くて高い地位にいる人が言ってたから間違いないのだけど、その偉い人曰く、「生きるとは、臭くなること也。」ということを言っていました。
これはどういう意味かといいますと、我々生命体は生きている以上、垢も出れば汗もかく、ウンコもすればオシッコもするし、とううことは身体には汚れが溜まっていくわけで、するとやはり臭くなっていくわけで、臭くなったからには周囲に生い茂る草木を枯らすし最寄りの子犬は死ぬ。でもこれは仕方のないことで、新陳代謝をしている以上、古くなった素材を新しい素材に変えていくという仕組みを持っている以上、避けられない宿命よ。その宿命の結果!臭くなるわけです。
ということが言いたいらしいんですけど、ほな最初からそう言えやボケカス。
誰も余のことなど理解してはくれぬ。とか言うてるヤツほど理解できるような具体的なことを何も言ってなかったりする。めちゃくちゃ言葉足らずのくせにウジウジし出したりする。
そんなヤツはね、そんなやつは、ダメだよ。
というわけで手を汚さずに生きていくというのはかなり難儀、つーか無理ってことだけわかっていただけたかな。
もし僕が僕の正義を裏切るようなことがあったとしてもこの「生きるとは、臭くなること也。」を思い出し、何事もセーフとしていくことで、お風呂にもあまり入らないということで、勝手に納得しときますもの。