
我ら、買った店舗や日にちは違えど、全員だいたい同じ格好同じ髪型をしてるなり。我ら、似た感じのヤツらなり。とでも言いたげなほどに誇らしそうに楽しそうに、似た感じのヤツらが7人でお天道様の下を闊歩な。
似た感じのヤツら7人は今日という日も似た感じで7人で行動していた。遠目から見ると分身してるみたいで、バルタン星人のようでちょっと怖い。7人で横に広がっての闊歩なので若干邪魔といえば邪魔であるが、人が通り過ぎるときは必ず似た感じのヤツらのほうから避けてくれるのでそないにストレスにはならない。気持ちのいいヤツら。いつもより少し早歩きな似た感じのヤツらだが、それはなぜなら、似た感じのヤツら7人全員がウンコがしたいからである。つまり、大便がしたいのだ(なんで言い直したのかわからん)。
誰がトップに躍り出るでもなく、7人が全員同じスピードで同じ焦り具合でトイレットを探すヤツら。
「今、この瞬間、カツアゲとかに遭いせんように。」
それは7人全員の願いであった。カツアゲにこそまだ遭っていないものの、しかしここで事件が起きた。
似た感じのヤツらのうちの1人が、段差につまづきすっ転んでしまったのである。
おまけにすっ転んだ瞬間に若干リキんでしまい、軽めのオナラ(“ピッ”みたいな音の)をしてしまったのであるが、そこはまぁそんなにはどうでもよくて、事件はその後、すっ転んだヤツが立ち上がったときのことであった。
なんと、すっ転んで膝をついたときにズボンが破れてしまい大穴が空き、その穴から膝小僧が丸見えになってしまったのである。せっかく似た感じの格好をしているのにも関わらず、そのうちの1人のズボンに大穴が空いてしまったのだ。それはヤツらに空けられた風穴とでも言うべき大穴であった。
ズボンに空いた大穴を見て、暫時硬直する似た感じのヤツら6人と、ついさっきまで似た感じだったヤツ1人。6人プラス1人の間に永遠のような時間が流れる。
「似た感じのヤツの1人のズボンに大穴が空いてしまって、もう似た感じではなくなってしまった。」
「これは遠目に見たとて、今までみたいにバルタン星人のようには見えないのではないか。」
「小さく、しかし大きな違いは、時として争いの火種となる。今こそ神の裁きを。」
「なにも知らなかったあの頃に戻りたい。戻れない。」
(中略)
「嗚呼。私だけ1人、パンクの人のようになってしまった。」
もはやパンクの人となり果ててしまった似た感じじゃない1人は、今にも泣き出しそうな面持ちで、かつて自分と似た感じだった6人を怯えたような、悲しそうな目で見つめた。そのときである。
似た感じの6人であるヤツの中の1人が「あなやっ!」と声を上げたかと思うと、その場で膝から崩れ落ちたのである。
突然のヤツの行動を驚き、しかし黙って見つめる似た感じの5人とパンクな人1人。
急に膝から崩れ落ちたヤツは、地面にうずくまりつつ手を膝の辺りにやりゴソゴソしている。やがてゴソゴソも止んで、すっくと立ち上がったヤツの姿を見て、似た感じのヤツ…、もうええわ、面倒くさいので省略して言いますけど、その場にいた全員が驚いたんです。
なぜなら、立ち上がった1人のズボンの膝辺りは破れ、膝小僧丸見えの大穴が空いていたんですものの。
そんなヤツの咄嗟の行動を目の当たりにし、見つめ入り、ハタと何かを悟った残る似た感じのヤツら5人も次々に「あなやっ!」と声を上げ地面に倒れこみ、そしうずくまったどさくさに紛れて自らの手で自らのズボンの膝辺りを破きます。
するとどうでしょう。そこにはズボンの膝辺りに大穴を空けているヤツが7人。ということはそう、再び似た感じのヤツらが7人揃ったのです。
最初にすっ転んでしまって、1人だけ似た感じじゃなくなってしまった1人は、6人のこの行動を見て心の底から感動しました。心の底から「自分がこいつらと似た感じのヤツで本当に良かった。」と思いました。そして「この似た感じのヤツら6人と、ずっと似た感じでいよう。」と心に誓ったのです。
各々がズボンに大穴を空けた似た感じのヤツら7人は、この事件のおかげでちょっと時間を取られてしまい、あえなく7人全員ウンコを漏らしてしまいましたが、その漏らしたウンコも似た感じのニオイだったので各々大して気にもならず、またもやお天道様の下を元気に闊歩な。