てめぇが飛んでいけ、わたしの過去へと

 

先週の土曜の夜にキャンプファイアをやり、そのまわりで車座になって名前を言うていくやつをやった。

 

車座になって名前を言うていくやつとはどんなやつかというと、例えばアルファ君、ブラボー君、チャーリー君、デルタ君、という4名でこのやつをプレイするとなると、仮にアルファ君から始めるとして、

「僕はアルファ君です。」

 

と言う。次に隣に座ったブラボー君が、

「アルファ君の隣のブラボー君です。」

 

と言う。またまたその隣に座ったチャーリー君が、

「アルファ君の隣のブラボー君の隣のチャーリー君です。」、

 

「アルファ君の隣のブラボー君の隣のチャーリー君の隣のデルタ君です。」

といった具合に次々と名前をつなげて最後に自分の名前を足して隣の人につなげていく、いくやつですね。

 

このやつがどんな時に役に立つかというと、初対面の者同士が初めて一同に会した際、一人ひとり自己紹介をしていったところでなかなか他人の名前など覚えられるものではないのでありますが、このやつは一人ずつじわじわと覚えていけるので頭に入りやすいしゲーム性もあるので楽しみがある。

名前は覚えられるはゲーム性なので仲良しになれるはで、良いことことしかないし、世界中のみんながこのやつをやれば戦争はなくなる。名前と顔が一致する人をあなたは撃てますか?シュートできますか?

 

ただこのやつの難点といえば、なぜかこのやつは(先週土曜の私がそうであったように)キャンプファイアを囲んで行われる場合が非常に多く、全員が全員、人間が本能的に持つ火への畏怖と興奮に満ち満ちたギラついた目でもってこのやつを行っているのであり、尚且つそんなギラつき顔を火がファイアが一方向からしか照らしていないため、せっかくこのやつをプレイしたにもかかわらず翌朝太陽の下で各々の顔を改めて見てみると「あれ、こんなヤツいたっけ。うのピチ君?」となってしまいがちなところであると言える。

 

そしてそもそも、初対面の者同士が自己紹介がわりにこのやつをプレイするのなら、なんでキャンプファイアがロマンチークをさんざめくような夜半過ぎまで開催されないのかが謎で(先週土曜の私がそうであったように)、初対面同士なら人数が集まり次第すぐにこのやつを執り行ない、お互いに顔と名前を一致させた後にキャンプファイでも飯盒炊爨でも士農工商でもやりゃあいいだけの話で、まだお互いを知らないうちにそのグループを取り仕切る幹部連中みたいな者どもが「今日はウチら、ハートフルんピースフルの集まりへ集まってくれてどうも、ほんまおおきにやで!感謝!早速やけど各自ここへ招待してくれたシルバースター会員さんのところへ集合して、夜のバーべに向けて準備していってな!招待してくれたシルバースター会員さんが来てない見当たらないってコはとりあウチのとこへ来てね!ほなやるで!ホレ!ムーヴムーヴ!」みたいな感じで各自散り散りバラバラにて準備。とりあえず同じシルバースター会員さん(高校卒業以来一切連絡を取っていなかった友達)の招待で集められた者同士で軽い自己紹介等はあるものの、基本的には知らぬ者同士なので、そんなバーべみたいな知ってる者同士でも段取りが難しいものをぎこちなくやりつつ「この老若男女どもは一体どういった繋がりでかかる山奥でバーべなんて開催するのだろう。こんなもん楽しいわけあるかい。肉もなんやこれ、うっす。切り落としばっかりやないか。」なんてことを思いながらノコノコとこんな僻地に足を運んだ自分を恨みつつ、あとはパサパサの肉と大量に用意されて消費し尽くせそうにない野菜を眺めつつ茫漠とした気持ちでバーべをやり過ごすのみである。

 

そして宴もたけなわのところでシルバースター会員さんたちが慣れた手つきでキャンプファイアの準備をしたところで、件の車座で名前を言うていくやつが開催されるのである。遅いっちゅうねん。ほんでここどこやねん。

 

参加者のほとんどが山の麓の駅に集合させられ、そこからは各シルバースター会員さんの自家用車によるピストン輸送でこんな阿呆な山奥まで連行されてきているので帰ろうにも帰れない、逃げられない。

 

どうやらこの集会は「みんなでゴールドスター会員になって幸せなろ!365連休!」というテーマの集会らしく、なんかしらの商品(シャンプーとか)をみなで折半して購入の後、その商品を今の私のように無知な者に売ることによって何かしらのケミストリーが起き、結果なんと多額の不労所得を得ることが出来、将来的にはドバイに家が建つし、諸先輩方もけっこうドバイとかに住んでるんです。という夢のようなお話をシルバースター会員の方から聞かされた。

 

 

私の脳みそはそんな阿呆な集会に集まった者どもの名前で結構なメモリーを食われてしまった為、山猿にでも噛まれて記憶を消してしまいたいなと思っていたのが先週の土曜の夜の話なんですね。