
またグーグー寝てしまう、一瞬しかない人生を寝て過ごしてしまう。だので俺は決めた。
「俺はもう布団に入らないべし」
この誓いを立てることで、でゆめゆめ(睡眠だけに、夢とゆめがかかってる)二度寝三度寝みたいなことはしない。しないはず。ただし当然就寝する時には布団に入ったほうがいいので、就寝時は布団に入ります。腰もあんま良くないしね。だので、
「俺はもう就寝する時はやっぱお布団で寝たいし腰にも良くないのでちゃんとお布団に入るとして一回起きてからは布団に入らないべし」
という誓いに誓いを立て直しました。しかしこの誓いを立てたあとすぐに、僕にひとつの迷いが生じました。それは「寒い冬のことだ。夜中に用便つまりオシッコに行きたくなることもこれはあるだろう。そんなとき誓いに則って布団に入らずに朝を待てばどうなるだろう。風邪を引きますよね。忙しい年末年始に風邪を引いたとあれば何かに支障をきたしてしまうし、それは避けたいです。」というものです。これは誓いを改めねば。だので、
「俺はもう就寝する時はやっぱお布団で寝たいし腰にも良くないのでちゃんとお布団に入るとして、一回起きてからはもうお布団には入らないと誓うが、夜中にオシッコに行った時は再度お布団に入るのは良しとし(風邪を引くので)、それ以降は布団に入らないべし」
というふうに誓いに誓いを立て直しました。これで私は限りある時間、仲間たちと過ごす最幸の時感を無駄にせずに済むというものです。しかしどうでしょう。寝て起きた時にまずしたいことはなにかなと考えたときに、これはみなさんオシッコなのではないでしょうか。ほんなら起床時刻に目を覚ましてオシッコに行ったとして、この度私が立てた誓いのままだと、起床時刻に目を覚ましてオシッコに行った場合にも、再度お布団に入ることを許しているということにならないだろうか。
これはいけない。なぜならそもそも私がかような誓いを立てるに至った理由というのが、どうしても冬は二度寝とかしてしまう、布団から出られなくなる、でも起きないといけないので、というものであるからして、だので一回布団から出たらこれはもうその日の就寝時までは布団には入らない、ガン無視するという誓いを自分に立てることによって冬の朝寝、三千世界の烏を殺し主と朝寝がしてみたい、みたいなことを自己抑制できるのではと考えたからで、このままでは、オシッコが理由である場合の再度の布団への侵入は、これを咎めることは無い、と手前で立てた誓いの法の抜け穴的な、詐欺師山師然としたふてぶてしさでもって再度布団に侵入した場合、自分の健康(風邪を引きたくない)を守るために追加したオシッコ後の布団へ入るのは、これをオッケーとするという優しさからくるオプションを逆手に取った、なによりの自分への裏切り行為となり得るのではないでしょうか。
私は優しい人間のその優しさに付け込んで悪事を働く奴輩を非難します。あまつさえ私は私が最も大切にしている私という存在の優しさに付け込んで、寝起きのオシッコ後に再度布団に入り二度寝することを自分に許そうとしていました。それの何が誓いか!だので誓いをこう立て直します。
「俺はもう就寝する時はやっぱお布団で寝たいし腰にも良くないのでちゃんとお布団に入るとして、一回起きてからはもうお布団には入らないと誓うが、夜中にオシッコに行った時は再度お布団に入るのは良しとし(風邪を引くので)、ただし寝起きのオシッコに関しては、それはもう起床後としますし、優しい人間の優しさに付け入るのは人間として最低の所業なので俺は俺の立てた誓いに背きたくないので、それ以降は布団に入らないべし」
という誓いに誓いを立て直します。かつて誰かが誓いを立てた際に、その文言に二度も”オシッコ”という単語が出てくるということがあったでしょうか。無いと思います。そんなオリジナリティも含めて私はこの誓いを胸に、明日から生きていこうと思います。いい誓いが立てられたことですし、さて、もう一度お布団に入ってダラダラすることにしますか!なんて感じで「オイオイ!(笑)」みたいなことを読み手に感じていただいてそれをオチにするみたいな文章が生活系エッセイでよくありますが、あんなオチはクソです。オチてないし。